「うちの子は人見知りだから」
「ちょっとうちの子には無理だと思う」
子育てをしていると、ついそんな言葉を口にしてしまうことがあります。
もちろん、子どもの特性を理解することは大切です。しかし一方で、私たち大人が抱く期待や思い込みが、子どもの行動や成長に影響を与えることがあるとしたらどうでしょうか。
今回は、教育心理学でよく知られている「ピグマリオン効果」について考えてみたいと思います。
ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果とは、周囲から期待された人が、その期待に応えるように成果を上げる現象を指します。
1960年代に教育心理学者のロバート・ローゼンタールらによって行われた研究では、教師が「この子は今後大きく伸びる可能性がある」と信じた子どもたちの成績が、実際に向上する傾向が見られました。
もちろん、期待するだけで成績が上がるわけではありません。
教師が無意識のうちに、
・より丁寧に説明する
・挑戦する機会を与える
・失敗しても見守る
といった関わり方をすることで、子どもの行動や自己認識が変化したと考えられています。
「期待」は子どもにどう伝わるのか
子どもは、大人が思う以上に周囲のまなざしに敏感です。
「あなたならできるよ」
という言葉だけでなく、
「どうせ無理だろう」
という諦めもまた伝わります。
そして子どもは、その期待や評価を少しずつ自分自身の認識として取り込んでいきます。
その結果、大人の予想が現実になっていくのです。
TCK家庭で感じるピグマリオン効果
海外移動を経験する子どもたちは、新しい言語や文化、学校環境に何度も適応することになります。
その中で、
「この子は日本語が苦手だから」
「帰国したばかりだから難しいだろう」
と周囲が決めつけてしまう場面も少なくありません。
一方で、
「時間はかかるかもしれないけれど、この子にはきっと力がある」
という見方をする大人が一人でも近くにいることで、子どもは安心して挑戦できるようになります。
私自身、海外や移動後の日本で子育てをする中で、「親の根拠のない自信」が子どもたちに伝わり、
上手に困難を乗り越えていく姿を何度も目にしてきました。
もちろん、不安や戸惑いがなかったわけではありません。
「手放しで親バカのように信じるだけで良いのだろうか」
そんなふうに考えたこともあります。
それでも、子どもの可能性を先回りして狭めないことの大切さを、
子どもたちの姿から教えられてきました。
なぜかわからないけれど、
「この子ならきっと大丈夫」
と無条件に湧いてくる感覚があります。
それは、一生懸命子どもと向き合い、成長をそばで見てきたからなのかもしれません。
期待することと信じることは違う
ここで注意したいのは、「高い期待をかければよい」という話ではないことです。
過度な期待はプレッシャーになり、子どもを苦しめることもあります。
大切なのは、
「こうなってほしい」
ではなく、
「この子ならきっと大丈夫」
と信じることです。
結果を求めるのではなく、可能性を信じる。
ピグマリオン効果が教えてくれるのは、そんな大人のまなざしの力なのかもしれません。
子どもたちは、私たちが思う以上に、大人の期待を感じ取りながら成長しています。
だからこそ、子どもを評価する言葉よりも、
子どもの可能性を信じるまなざしを大切にしていきたいと思います。

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